ESG評価機関等の紹介

株式会社日本格付研究所(JCR)

JCR紹介

株式会社日本格付研究所(JCR)は日本を代表する格付会社の一つで、信用リスク分析のエキスパートです。

JCRは、17年9月に、国連責任投資原則(UNPRI)が主導する「信用格付におけるESG要素のイニシアチブ」に署名して以来、信用格付におけるESG要素に係る分析とその開示を強化しています。

また、急速に発展するサステナブルファイナンス市場における第三者としての意見提供の必要性に応えるため、17年10月にグリーンファイナンスに対する評価業務を開始して以来、国内外の多様なESG投融資に対して評価を提供しています。

評価サービス概要

(1)資金使途特定型商品への評価(グリーンファイナンス評価、ソーシャルファイナンス評価、サステナビリティファイナンス評価)

JCRは、グリーンファイナンス評価(クライメートトランジションファイナンス評価を含みます)、ソーシャルファイナンス評価、サステナビリティファイナンス評価(外部レビュー)を5段階の記号及び評価レポートの形で提供しております。これら評価は、国際資本市場協会(ICMA)の原則、ローン市場協会(LMA)等の原則及び環境省ならびに金融庁のガイドラインに準拠しています。

評価の対象は、グリーン、ソーシャル、サステナビリティの観点で適格と判断されるプロジェクトを資金使途とする債券・ローン等の資金調達手段、もしくはこれら資金調達に関する包括的な取り組みを示したフレームワークで、対象となる発行体の業種や分野には、次のものを含みます。

  1. 事業法人、金融機関、政府、地方公共団体、国際金融機関、政府系機関
  2. プロジェクトファイナンス
  3. 投資法人
  4. 証券化商品

JCRグリーンファイナンス評価は、以下の図にある3つのフェーズに分けて行います。
ソーシャルファイナンス、サステナビリティファイナンスに関しても、同様の評価手法に基づいています。

グリーンファイナンス評価においては、ご発行体様のご希望によりClimate Bonds Initiative(CBI)のApproved Verifier(認定検証機関)としてCBIの検証業務を実施することが可能です。

 

JCRグリーンファイナンス評価の枠組み

JCRグリーンファイナンス評価の枠組み

(2)サステナビリティ・リンク・ボンド/サステナビリティ・リンク・ローンへの意見書

サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)とは、予め定められたサステナビリティ/ESG の目標を達成するかどうかによって条件が変化する債券のことを指します。債券の発行体は、あらかじめ定めた時間軸の中で、将来の持続可能性に関する成果の改善にコミットしているともいえます。

SLBは、発行体があらかじめ定めた重要な評価指標(KPI)とサステナビリティ・パフォーマンス目標(SPT)によって評価されます。KPIに関して、達成すべき目標数値としてSPTが設定され、KPIがSPTを達成したかどうかによって、債券の条件が変化します。

JCRは、SLBについて、2020年6月にICMAによって策定されたサステナビリティ・リンク・ボンド原則への適合性に係る意見書を提供しています。

また、JCRでは、SLBに先立ち2019年11月より、サステナビリティ・リンク・ローンの商品組成に対しても、サステナビリティ・リンク・ローン原則に則り第三者意見を提供しております。

(3)ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)への意見書

JCRでは、国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI)の定めるポジティブインパクト金融原則に基づいたポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)に対する第三者意見の提供に取り組んでおります。

PIFとは、企業活動が経済・社会・環境にもたらすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、ネガティブインパクトの緩和とポジティブインパクトの拡大について目標を設定のうえ、その実現に向けた継続的なエンゲージメントを重視したファイナンスをさします。

JCRでは、2019年3月にグローバルで第1号となる不二製油株式会社(貸付人:三井住友信託銀行株式会社)へのPIFについて意見書を提供して以来、多くのPIFに対する意見書を提供しています。また、貸付人となりうる金融機関に対しても、体制整備等のサポート業務を提供しています。

(4)トランジション・ファイナンスへの評価

トランジション・ファイナンスとは、気候変動への対策を検討している企業が、脱炭素社会の実現に向けて、長期的な戦略に則った温室効果ガス削減の取組を行っている場合にその取組を支援することを目的とした金融手法をいいます。

ICMAが策定したクライメートトランジション・ファイナンス・ハンドブック及びクライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針において、トランジション・ファイナンスの類型として以下のいずれかの形式により、実行されたファイナンスがクライメート・トランジション・ファイナンスであるとされています。

  1. 資金使途を特定した債券の場合:グリーン及びソーシャルボンド原則又はサステナビリティボンド・ガイドラインに整合
  2. 資金使途を特定しない債券の場合:サステナビリティ・リンク・ボンド原則に整合

JCRでは、国で定める業種別ロードマップもしくは発行体の属する業界の目標等を確認しながら、クライメートトランジション・ファイナンス・ハンドブック及びクライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針への適合性にかかる評価/意見を提供しています。

上場会社へのメッセージ

第三者評価機関によるサステナブルファイナンス評価は、投資家が正しくESG投融資の判断を行えるよう、金融市場の情報の非対称性を減らす役割を担っています。このため、JCRは、評価書の客観性、専門性、公正性、独立性に留意しながら、資金調達者が貢献する環境・社会課題の特定とその効果の可視化に努めます。

サステナブルファイナンス評価開始時より、JCRが重視しているのは、グローバルな基準の維持とローカルに抱える社会課題や地理的・産業構造的特性への配慮です。

グローバルな基準との整合性の観点からは、JCRは、国連環境計画金融イニシアティブ、国際資本市場協会の各種作業部会に我が国の評価機関の先駆けとして参画してきた結果、2019年にCBI認証機関に認定されました。また、海外で次々と組成されるサステナブル金融商品を国内外の金融機関と協力して実現してきており、サステナビリティ・リンク・ボンド、サステナビリティ・リンク・ローン、ポジティブインパクトファイナンスに対する第三者評価を提供しています。

国内の政策への貢献としては、金融庁、経済産業省、国土交通省及び環境省のESG投融資に係る各種基本指針やガイドライン策定の検討会に委員として参加し、我が国のサステナブルファイナンスの基盤整備に貢献しています。2021年は、クライメート・トランジション・ファイナンスに係る基本指針の策定、多排出産業におけるカーボンニュートラルへの移行のための技術ロードマップの策定、ソーシャルボンドガイドラインの制定、グリーンボンドガイドライン、グリーンローン・サステナビリティリンクローンガイドラインの改訂に、いずれも委員として参加し、サステナブルファイナンス市場の創出と育成に尽力しています。

2050年のカーボンニュートラルで包摂的な社会の実現には、膨大な資金需要が見込まれます。JCRは適正な評価の提供を通じ、資金調達者様の長期的企業価値向上と投資家の皆様の責任投資の実現に貢献してまいります。

問合せ窓口

株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価本部 評価部
03-3544-7016
esg@jcra.com