Q1 デリバティブ取引って「株式売買(現物取引)」とどう違うの?
中之島さん |
デリバティブ取引って株式売買とどういう違いがあるのかしら? |
北浜博士 |
株式売買は、その名のとおり、株式を売買することじゃな。少し難しい言い方をすると、会社が資金調達等のために発行した株式を売買すること。売買の時にお金と現物(株式)を交換することから、現物取引とも言うんじゃ。 |
中之島さん |
株式売買は、会社が資金調達のために発行した株を買ったり売ったりすることを言うのね。その場でお金と物を交換する取引ということは、普段のお買い物も現物取引と言えそうね。 |
北浜博士 |
その通りじゃ。一方、デリバティブ取引は、株式などを原資産(デリバティブの取引対象)として作られた、金融派生商品全般を意味するんじゃ。初めて聞くと少し難しく感じるかもしれんな。商品タイプには、大きく「先物取引」、「オプション取引」、「スワップ取引」があるんじゃよ。
参考:1-2_デリバティブとは-デリバティブの種類 |
中之島さん |
んんん、原資産?金融派生商品?あまりピンとこないわ。 |
北浜博士 |
最初はそうじゃろな。じゃぁ、デリバティブの中で最もよく取引されている先物取引の説明をしよう。少しはイメージしやすくなるかもしれんな。 |
中之島さん |
先物取引というのは聞いたことがあるわ。 |
北浜博士 |
先物取引は「原資産を、将来のある日に、今決めた値段で売買する契約」、つまり、今は値段だけ決めておいて、例えば1年後に売り買いしましょうと約束をすることなんじゃ。 |
中之島さん |
今お金がなくても将来お金が用意できそうだから、今決めた値段で将来買う予約をするということができるの? |
北浜博士 |
そういうことじゃな。じゃから、最初に代金全額は必要ないが、厳密に言うと、予約金のようなものが多少必要になる。それについてはQ9で説明しよう。
さて、買う立場の人もいれば当然売る立場の人もいる。売る立場の人は、今物を持っていなくても、将来手に入る予定なので先に売っておくということができるんじゃ。ここも現物取引と違う点じゃよ。 |
中之島さん |
ふつうは物を持っていないと売りに出せないけど、先物取引は今その物を持っていなくても売れるの!? |
北浜博士 |
そうなんじゃ。じゃから、今後値段が下がりそうと思ったら、売りから入って利益を出すことも可能ということじゃな。 |
中之島さん |
「安く買って高く売る」が商売のコツだと聞いたけど、「高く売って安く買う」こともできるのね。 |
北浜博士 |
そうじゃ。そして、もう1つ、現物取引と大きく違う点がある。それは、先物取引が「約束」であることじゃ。 |
中之島さん |
どういうこと? |
北浜博士 |
株式売買の場合、株を買ったら会社が存続する限り、ずっと持っておけるじゃろ。それは買った時点で物と代金の受渡しが完結しているからなんじゃ。じゃが先物取引は最初の売買だけでは完結しない。期日には約束を果たさないといけないんじゃ。 |
中之島さん |
なるほど。でも、期日を待たないといけないの? |
北浜博士 |
そうでもないぞ。1年後の取引の約束の日までだったら、その買う約束を他の人に売ることができるんじゃ(転売)。逆に、売る約束をしていた物を前倒しで買うこともできる(買戻し)。株式売買と先物取引の違いを図で表すと以下のようになるんじゃ。 |