Q2 株価指数が先物取引の取引対象になっているのはなぜ?
中之島さん |
小麦や金が取引対象になっているというのは何となく分かるんだけど、株価指数が対象になっているというのがあまりよく分からなくて。 |
北浜博士 |
確かに実体がないし分かりづらいかもしれんな。例えば、馴染みのある日経平均株価(日経225)を例に見てみよう。株式売買の場合、まず銘柄を選ぶところから始まるが、株価指数だと個別に選ぶ必要がない。日経平均株価は日本の株式市場を代表する225社の動きを表しているから、相場の把握がしやすいんじゃ。また特定の企業の値動きに左右されにくく、倒産リスクもないんじゃ。 |
中之島さん |
株価指数を対象とした先物取引は難しいことを考えなくても始められるのね。特定の銘柄を選ぶ場合、企業情報を集めて研究したりしなきゃいけなくて難しそうだけど、日経平均株価だったらテレビやニュースで毎日報道されているし、情報収集もしやすいわね。 |
北浜博士 |
そうじゃな。それから、大きな金額を運用する投資家にとってもメリットがある。もし大きなお金が手元にあったら、どうやって株を買うじゃろ? |
中之島さん |
うーん…大きなお金を手にしたことがないからわからないけど…その会社が倒産したら困るから、会社はしっかりと選ぶ、かな。 |
北浜博士 |
うーん、惜しいのう。倒産のリスクに着目したところまでは良いのじゃが。
いくら良い会社を選んでも、投資に絶対はない。万が一、その会社が倒産したらどうするんじゃ? |
中之島さん |
その会社が倒産しても大丈夫ように…?あっ!わかったわ、博士!たくさんの会社の株を買って、1つの会社が倒産しても損が少なくなるようにするのね! |
北浜博士 |
正解じゃ。大きな金額を株式で運用する機関投資家は、複数の銘柄を組み合わせて運用しておることが多い。投資の世界には「卵は1つのカゴに盛るな」という格言があるのじゃが、投資家、特に機関投資家は、なるべく多くの銘柄に分散して投資することで、個別の企業が倒産しても全体的な損失はなるべく少なくなるように運用してるんじゃよ。
ではもう1つ質問。そうやって銘柄を分散した投資家の日々の損益は、どういう値動きになるんじゃ? |
中之島さん |
うーん…たくさんの銘柄を買ってるんでしょ?そんなの見当もつかないわ。 |
北浜博士 |
少し難しかったようじゃな。では、2銘柄だとどうじゃな? |
中之島さん |
2銘柄だと…2つの銘柄の株価の平均よね。 |
北浜博士 |
そうじゃな。では銘柄を100、200と増えるとどうじゃ?何か気付くことはないかの? |
中之島さん |
んー…銘柄が100、200と増えて…その平均だから…。あっ!日経平均株価とよく似てるわ! |
北浜博士 |
そうじゃ。複数の銘柄を組み合わせた投資家の損益は、おのずと株価指数に似てくる。そうして運用する機関投資家にとっても、損失を回避したりするのに動きの似た日経225先物は便利ということじゃな。 |
中之島さん |
私たち個人も、機関投資家も、海外の人も、みんなが使いやすいのが株価指数先物なのね! |
北浜博士 |
いろいろな投資家が参加して決めた値段だからこそ、適正な価格で売買できるということじゃな。 |
日経225(日経平均株価)
マーケット全体の動きは、個々の銘柄の株価を見ただけでは分かりません。このため、市場全体の動向を表す指標として、様々な株価指数が算出され、日々の証券市場の動向はもとより、広く経済指標として使われています。
日本の株価指数には様々なものがありますが、その中でも代表的なものが(株)日本経済新聞社が算出・公表する日経225(日経平均株価)です。
日経平均株価は、東京証券取引所市場第一部上場会社のうち業種のバランスや流動性などから選ばれた225銘柄の株価から算出されたものです。
株価指数は、単に市場全体の動向を見るために使われるのではなく、投資信託を設定するときの指標に利用されたり、先物取引やオプション取引等の関連商品の原資産として利用されたりしています。